成射出成形金型の離型不良を、使用中の摩耗・汚れからイエプコ処理で改善
お客様の課題:海外製の射出成形金型の離型不良が頻発している
海外メーカー製の設備・金型導入当初は順調だったものの、生産を重ねるにつれて成形品が金型に固着する「離型不良」が多発し、生産ラインが頻繁に停止するという課題を抱えておられました。無理に突き出すことで成形品が変形・破損し、不良率が増加。安定生産の大きな妨げとなっていました。
技術的背景:金型表面の微細な経年劣化

長期間の使用は、金型表面に目に見えない変化をもたらします。繰り返される射出圧力と樹脂との摩擦は、表面に微細な傷や摩耗を生じさせ、これが成形品を掴むアンカー(錨)のように作用します。さらに、樹脂から発生するガスや添加剤が「ガスヤニ」として表面に固着し、離型を助けるための微細な磨き目を埋めてしまうことで、離型抵抗を増大させていました 。これが徐々に離型性が悪化していった根本的な原因でした。
扶桑精工の提案:表面改質技術「イエプコ処理」による根本解決
単なる洗浄では再発が避けられないと判断し、扶桑精工では表面を根本から再生させる「イエプコ処理」をご提案しました
この技術は、まずクリーニング工程で摩耗した表面層や頑固なガスヤニを徹底的に除去します 。次に、ピーニング工程で球状の粒子を表面に投射し、金属組織を緻密化・平滑化させることで、樹脂が付着しにくい「滑り性の高い」状態を創り出します 。この「トリボフィニッシュ効果」により、離型不良の複合的な原因を根本から解決できるとご説明いたしました。
本提案の導入後、離型不良は解消され、スムーズで安定した成形サイクルが回復。生産ラインの停止時間が大幅に削減されました 。成形品が無理なく離型されるため、突き出し時の変形や傷もなくなり、製品品質の安定と不良率の大幅な改善を実現しました。また、表面に汚れが付着しにくくなったことで、日常的な金型清掃の頻度が減り、メンテナンス負荷の軽減にも繋がりました 。
扶桑精工は、目先の不具合修正に留まらず、金型の状態を的確に診断し、その性能を最大限に引き出すための最適なソリューションを提供します。